美術教育家 青山武美遺作展について
青山先生は73歳で他界された。
その生涯の約半世紀は丹波立杭の郷が精神的安住の地であったともいえる。
先生が立杭へ訪れるのは、戦後間もないころである。「一期生の君たちの先輩はオカリナを吹いていたんだよ・・・・・」いつも話される先生の言葉は今でも鮮明に残っている。 戦後、音楽教育を行うのに楽器がない時代である。そこでオカリナに出会った。オカリナは粘土を焼いた笛。先生は、オカリナの作り方をイタリアの書で学ぶのである。しかし、制作するのに粘土の調達や焼成問題があった。兵庫県の代表的焼き物は丹波立杭焼きだ。柳宗悦・バーナードリーチ・浜田庄司の各氏が、立杭焼きに注目をはじめる時代背景もあったであろう。そして、立杭に出会うのであった。「子どもたちにオカリナを」懸命な研究が始められる。まず、木型で原型を作り、石膏を流しこみ、型を作る。その型は大中小さまざまな形であり、音階は音楽教師が担当し、共に音の調整に時間をかけた。そして、いよいよ運ぶのであるが、その数は100を超えるときもあった。
夏休みに入ると数十名の子どもたちと共にキャンプをする。鎮守の森の住吉神社で約一週間のスケッチ生活である。虚空蔵山の山すそに流れる四斗谷川で汗を流し、夜になるとカエルの合唱の中で眠るのである。一週間はあっという間に過ぎていく。秋には美術部作品展が始まり、丹波立杭絵画大全集が廊下まで展示されるのは圧巻であった。
青山先生の思いは、神戸の都会での生活と立杭の生活とをしっかりと見ること、そして焼き物で生活を営んでいることの偉大さを知ることであった。
作品は水彩画が多く、半切・四つ切画用紙である。今田町立杭風景はもちろんのこと、立杭焼きを中心に描いている。点数は数百点に及ぶ。他に立体作品もあるが、代表的なオカリナ作品もある。
恩師青山武美先生は、実に天才的な美術教育者でもあった。そして、最も丹波立杭を愛した人物のひとりである。
このたび、青山武美遺作展を立杭の郷で行われることを心から感謝申し上げ、意義深きものと確信いたします。
オカリナ奏者・制作者
播磨町美術協会副会長兼彫刻部長
青山武美遺作展実行委員会 鄭 光均
お問い合わせ 篠山市立今田公民館
TEL0795-97-2255
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